SoP- 執筆編

1. SoPの形式

SoP-執筆編では、SoP(Statement of Purpose)の書き方について具体的に見ていきます。SoPの基本情報やSoPに書くべき内容について知りたい方は、「SoP-準備編」を見てください。

SoPの形式についてですが、大学によって様々です。例えば、University of California, Santa BarbaraのMaterials Departmentでは2ページまでなのに対し、Harvard Universityでは1000語以内で

”Describe your reasons and motivations for pursuing a graduate degree in your chosen degree program, noting the experiences that shaped your research ambitions, indicating briefly your career objectives, and concisely stating your past work in your intended field of study and in related fields”

といったSoPに書く内容の指定もあります。まずは受験校がSoPの内容、長さをどう指定しているか確認しましょう。また、形式や内容の指定がHP上には記載がなく、実際に出願する際に使うWeb applicationにのみ載っている場合もある(上のHarvard Universityの指定がその例)ので、一度Web applicationに登録して何が指定されているか確認しましょう。

中にはSoPの内容や長さをはっきり指定していない場合もあります。指定がない場合は基本的にフォーマットは自由ですが、一般的に(500-1000 単語、フォントサイズ12pt、1-2ページ、上下左右1インチ余白、左揃え)を参考に書きましょう。

2. SoPの文章を書くコツ

実際にSoPを書くときに、意識するべき点を紹介します。

A. 読む人は多忙な教授

SoPを読む人は、毎日研究や授業で多忙な教授達です。大量の応募書類の中で、一つ一つのSoPを読む時間はほとんどありません。その中で最後まで読んでもらうために、簡潔にかつ論理的に文章を書く必要があります。

B. 興味のある教授の名前を二人以上書く

2人以上の教授がその学生を自分の研究室にほしいと判断した場合に合格とする選考方法を取り入れている大学もあります。そのため、SoPには、自分の興味のある教授の名前を2人以上書きましょう。また、教授の名前を明記することで、その教授の目に留まりやすくなります。年度によっては予算の都合上、第一志望先の教授が学生を取るつもりがない場合もあるので、複数名の教授の名前を書いておきましょう。

C. CVや推薦状と相互補完するように。

SoPは他の出願資料であるCV (or Resume)や推薦状と相互補完するように書きましょう。例えば、CVで書いてあるような受賞歴を、SoPで列挙する必要はありません。受賞等を強調するために記述したい場合は、研究遂行能力の裏付けや、その賞で自分が何をしたかの具体性を付け加えるように書きましょう。

D. 夏から書き始めて書き直しを100回しよう

良いSoPは一朝一夕では出来上がりません。良いSoPを書くには、夏から書き始めましょう。なぜなら、SoPの第一稿から、推敲し完成形へ仕上げるのにかなりの時間を要するからです。英語ネイティブや既に大学院留学している先輩、同時期に受験する仲間を見つけて何度も何度もフィードバックをもらいましょう。日本語での志望理由書が必要となる国内の奨学金の応募時期が8〜9月頃なので、その頃にはSoPのストーリーの原型が出来上がっているといいでしょう。

XPLANEでも、2020年8月にSoPメンターシッププログラムというSoP執筆のためにアドバイスをもらいたい出願予定者と、後輩のために執筆支援をしてくださる留学経験者のメンターをXPLANEコミュニティ上でマッチングし、出願に向けてSoPドラフトを練り上げていくプログラムを立ち上げました。詳しくはこちらをご覧ください。

E. 気を付ける表現

  • Action verbを使う (Action verbのリスト
  • “I~” の多用は避ける(あなたのSoPということは分かっています)
  • 省略形は避ける(can’t, isn’t, aren’t, etc)
  • 略称は一番最初にフルの名前を書く。例: Carbon Nanotube (CNT)

3. 実例を見てみよう!

日本の大学で学部および修士を卒業し、アメリカのトップスクールの大学院に合格した学生が出願に実際に用いたSoPを紹介します。(具体的な研究内容等は伏せてor変えてあります。)まだ改善の余地はあり、このSoP例に関して良い点、改善できる点のコメントがあるので、それを参考にしながら自分のSoPを書き上げてみてください。

アメリカ大学院の理系博士課程合格SoP例1 コメント付き(材料系)

アメリカ大学院の理系博士課程合格SoP例2 コメント付き(土木系)

4. 英語、SoPに関するおすすめ資料

-2020年 XPLANE SOP執筆支援ワークショップ資料

2020年にXPLANE Slack参加者向けに開催されたワークショップの資料。SoPを執筆する心構えや手順、各パラグラフに書くべき内容などについてまとまっています。SoPを書き始める方にとって必読の資料です。

資料:ワークショップスライドワークシート1(Generating ideas)ワークシート2(Formal Outline Template)ワークシート3(Formal Outline アクティビティ)

Purdue Online Writing Lab

アメリカの大学生は誰もが知っているWriting全般に関して網羅しているサイト。Academic Writingの基礎SoPに特化した項目などWritingに関するすべてがここにあるといっても過言ではありません。

-The elements of style, William Strunk Jr., E. B. White

英語のNative speakerにはかなり有名なライティングの指南書です。ページ数も手頃で、シンプルかつ伝わる英作文の書き方についてまとまっています。著作権が切れているため、無料でWeb公開されています。また、日本語訳したものもあります。

2015年SoP講座資料 presented by 米国大学院学生会 & UT-OSAC

2015年に米国大学院学生会とUT-OSACの共同で開催された、海外大学院受験者向けのSoP講座資料。スライド形式で、SoPの書き方についてまとまっています。

UC Berkeley (Writing the Statement of Purpose)

UC Berkeleyの大学院 admissionページの一つで、SoPの書き方を分かりやすく英語で説明しています。SoP執筆前に目を通しておきましょう。

謝辞

当ページを作成するにあたり,貴重なアドバイスを頂いたハワイ大学マノア校の松谷優花さん(ライティング教育・カリキュラム開発専門)に感謝の意を表します。また、SoPに関する知見は、2015年の米国大学院学生会およびUT-OSAC主催のSoP講座を始めとした、先輩方からの知恵・経験の共有により得られたものです。心より感謝いたします。