僕は、アメリカの大学院に絞って出願をしました。実は、アメリカにおいて地理学は主流な学問とはあまり言えません。というのも、20世紀に様々な大学が地理学部やその博士課程を閉鎖し、現在アメリカで地理学の博士号を授与している大学は限られています。一方で、イギリスやカナダの大学の多くは地理学の博士課程を擁しています。
しかし、それでもアメリカの大学院に限定をして出願をしたのには2つ理由があります。*1まず、アメリカの多くの博士課程では学生がティーチングアシスタントなどとして採用され、学費が免除され、給与が支給されます。なので、今回の受験に際して、外部の奨学金はひとつも応募しませんでした。もうひとつの理由は、カリキュラムです。アメリカの大学院は、博士課程でも最初の数年間は授業を受けなければいけない場合が多く、調査法の授業がしっかりとカリキュラムに組み込まれていたり、理論史の授業が必修だったりします。煩わしいと思う人もいるかもしれませんが、自分の修める学問の基礎を大学院レベルでしっかりと叩き込んでもらえる環境は僕にとってはとても魅力的でした。
具体的に出願校を選ぶ際は、各プログラムに強みや重点があるため、ホームページでカリキュラムや教授陣の研究テーマなどを調べたり、修士時代にお世話になった先生たちにもアドバイスをもらったりして、自分に合ったプログラムかどうかを見極めていきました。この際に、他学部の副専攻やサーティフィケイト*2のプログラムや、リサーチセンターなども調べると、自分の所属するプログラムだけでなく、大学全体が自分にマッチしているかどうかが見えてくると思います。なお、各ランキングやネームバリューも、そのプログラムの予算や卒業後の就職にも影響してくると聞いていたため、考慮しました。
また、プログラムとの相性を計る際には、自分の研究を指導できそうな教員が複数いるかどうかも見た方がいいというアドバイスを複数人からもらいました。例えば、指導教員が別の大学へ移動してしまった時やその人との相性が悪かった時、ひどいケースではハラスメントが起こった時などに備えて、その人に代わる教員がいた方がいいと言われました。加えて、合格結果が全て出揃って進学先を迷っていた際に、博士論文の副査をお願いできそうな教員が多い方がいいというアドバイスをある人にもらいました。副査候補が多ければ、もし主査である指導教員と副査の関係が悪くても、副査を変えることができるからです。