* 2021/5/21東大新聞寄稿記事の一部転載
大学3年の前期に参加した工学部航空宇宙学科のARLISSというプロジェクトで、アメリカの砂漠に行って自分たちで作った飛行機をロケットから飛ばしました。苦労して自分たちが作ったものが遠い空で動いたことに非常に感動し、それ以来、将来は実際の宇宙ミッションで自分の手がけたものを動かしたいと思うようになりました。
そのプロジェクトの後、NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory, JPL)に行き、そこで働く日本人研究者の方々とお話する機会がありました。私も将来JPLのような、宇宙開発の最前線で働きたいと伝えると、「アメリカで博士号を取ると良いよ」と勧められ、以降アメリカの大学院に進学することを真剣に考え始めました。
アメリカから帰国して、まず学部の間に交換留学をしようと思い、工学部によるカリフォルニア大学交換留学プログラムに応募しました。4年生の秋から1年間カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に留学できることが決まりました。さらにカーネギーメロン大学(CMU)ロボット研究所での研究インターンシップにも応募し、4年生の夏に2カ月間参加することとなりました。
アメリカへの留学が二つも控え、ワクワクしていた矢先、新型コロナウイルスのパンデミックが到来。研究経験を積む絶好の機会だと思っていたのに、次第に悪化する状況に不安が増していきました。最悪両方中止になったら、学部からアメリカの大学院Ph.D.に出願するにはあまりにも何も材料がないし大変だから、修士を日本で取得してから出願しようと思い、東大の工学系研究科修士課程に出願しました。その後、CMUでのインターンシップはフルオンライン、UCLAへの留学も20年5月末時点で、秋学期の中止が言い渡されました。その時点では冬学期から留学できる可能性も示唆されていましたが、7月になってアメリカで感染者が指数関数的に増加している報道をみて、これは冬からの留学も無理だろう、と思いました。これと時を同じくして学部から直接海外大学院のPh.D.に出願した方の話を聞く機会がありました。学部4年で出願してどこか一つでも合格できればラッキーだ、その可能性を諦めて2年間も待っていられない!!早くアメリカに行って研究したい!!!と思い、学部4年での出願を決意。全落ちする可能性も十分考えられたので、東大の院試も受けました。しばらくして交換留学は冬学期も中止との通知が来ました。